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指導教授の思い出

私と師匠との出会いは、まずは彼の著作からでした。私がまだ地元の大学の修士課程の1年生だった頃。ある先生から、夏休みの課題に院生個別の課題を出されました。その時の私の課題が、「『物語文学の言説』という書物の書評」というもの。恥ずかしいことに...

物語の〈恋愛場〉について

源氏物語では、男女が二人で相対する場面になると、それまでの「大将」とか「大臣(おとど)」とか「宮」とかの呼び名が消え、ただの「男」・「女」と呼ばれます。 それが〈恋愛場〉のしるしでもある。 この二人は、いま恋愛の場面にいるのだ、と「男」...

師匠の最終講義の思い出

私の指導教授の最終講義がありました。学内・学外の先生たち、ずっと以前の教え子、今のゼミ生、たくさんの人が集いました。講義が始まってすぐの時あろうことが涙腺がゆるんで…しかしその時は内容に引き込まれて泣かずに済みました。(この前から気持ちが...

六条御息所の絶唱二首

研究とは別の視点で、源氏物語に好きな歌はいくつかあるのですが、「葵」巻の六条御息所の歌は凄いです。 光源氏と六条御息所の関わりは、物語に登場するその始発から、冷めたものとして語られています。もちろん光源氏がかなり強引に口説き落としたんです...

「にほふ」ということ

「匂ふ」という言葉は、今は完全に嗅覚表現になっていますが、古くは、視覚に用いられていたということ覚えておいででしょうか(受験期のことを)。「角川全訳古語」を引いてみますと(ちょっと宣伝)、①美しく映える色。美しい色つや。②きわだった美しさ。...
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